牡蠣の絶滅危機を救う
1998年、広島の牡蠣業界は存続の危機を迎えていました。
赤潮が発生して牡蠣が壊滅状態に陥いったのです。
なんと80%のカキが死に、被害額は46億円。
「来年も赤潮が発生したら牡蠣業者は半減する」とまで言われる深刻な事態でした。
そんな牡蠣を救うべく登場したのが「マイクロバブル」。
まず、赤潮とはプランクトン大量発生のこと。
牡蠣が死んだ原因は、赤潮によって水中の酸素濃度が低下した為なのです。
そこで牡蠣にマイクロバブルで酸素を供給する実験が行われました。
海面近くの水中に筏(いかだ)にくくり付けられている牡蠣に、下からマイクロバブルが与えられました。
すると、
結果、牡蠣は死なずに大きく成長したのでした。
狙い通りマイクロバブルによって水中の酸素濃度が上昇したのが、牡蠣が成長した理由です。
更にマイクロバブルのマッサージ効果(刺激)によって牡蠣が例年以上の成長を見せた為、1969年以来の「若ガキ(1年もののカキ)」の出荷も可能になりました。
北海道のホタテでも
ホタテは養殖の過程で一度陸に上げて、手作業で紐に吊るす作業があります。
その際、何万個ものホタテが水槽に詰めこまれる為、酸欠状態が発生し、3~4割のホタテが死に、生き残ったホタテも衰弱してしまう問題がありました。
この酸素不足を解決したのがマイクロバブルです。
ホタテが入れられた水槽にマイクロバブルを供給すると、
ホタテは死なずに済んだだけでなく、広島の牡蠣と同様に例年以上の成長を見せ、ホタテ産業が甦りました。
メガネ洗浄もマイクロバブル
福井県鯖江(さばえ)市はメガネの生産量が日本一。
メガネは生産工程の最後に洗浄を行いますが、その工程は12にも及び、時間にして20分も掛かっていました。
その大きな原因は「指紋」の洗浄です。
指紋の洗浄は「洗浄の世界で一番難しい」と言われています。
指紋除去をマイクロバブルでどうにかできないか実験が行われました。
何度かの失敗の後、ある洗剤を混ぜた水槽にマイクロバブルを発生させると、メガネをその水槽に3分浸けるだけで、指紋が取れたのでした。
今まで12の工程で20分もかかっていた洗浄が、たった3分、しかも1つの工程で済んだのです。
メガネメーカーの人は「マイクロバブルは羅針盤・印刷機・火薬に次ぐ、世界四台発明だ」と賞賛したほどでした。
これらの事を成し遂げるのに「普通の泡ではダメなの?」と思うかもしれませんが、マイクロバブルでなければダメな理由はマイクロバブルの特徴と効果で述べた通り、小さくて水に溶ける特徴によって実現できたのです。
シャワーだけじゃない?マイクロバブル入浴の効果
普通のお風呂とマイクロバブルを発生させたお風呂を比較した実験があります。
マイクロバブルのお風呂の方が、あがった時の体の表面温度が約2度も高く、ポカポカする感覚、「温熱効果」を生みました。
この温熱効果によって、疲れの回復、健康促進効果が高いと検証されました。
山口県長門市の「俵山温泉」では、温泉にマイクロバブルを発生させ、その「ポカポカ効果」で話題になり、お客さんが増加したそうです。
温泉に入った人からは「マイクロバブルの温泉に入ると、ポカポカしてぐっすりと眠れるようになった」と感想が聞かれたそうです。
参考文献
マイクロバブルのすべて [ 大成博文 ] |